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カテゴリー別アーカイブ: 日記

第14回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

 

~“塗るだけ”じゃない!~

 

「左官=壁に塗る人」だけじゃもったいない!実は、下地の診断・材料の配合・含水率のコントロール・鏝(こて)さばき・養生・検査まで、完成度の8割は見えない工程で決まるんです。この記事では、下地→配合→塗り→仕上げ→養生→検査の流れを、今日から役立つコツと一緒に解説します。


1️⃣ 下地判定が“すべてのスタート”

同じ壁でも中身が違う!

  • コンクリート:吸水ムラあり。レイタンス除去→シーラーで足場づくり。

  • ALC:多孔質で水をよく吸う。フィラーで吸い込み均一化がカギ。

  • 石膏ボード:ジョイント処理が命。段差ゼロ&クラック予防にメッシュ+パテを丁寧に。

  • 既存塗膜の上:付着試験(テープ・打診)で弱層の見極め→必要なら撤去。

ポップTip:下地の吸水を“見える化”。霧吹きの水が何秒で消えるか吸水強度の目安がわかるよ!⌛


2️⃣ 材料の“黄金トリオ”——水・粉・骨材を仲良くする⚖️

  • 漆喰(消石灰):上品な白と抗菌・防カビ性。磨きでツヤ変化が楽しめる✨

  • :しっとり調湿&やさしいマット感。藁スサでひび抑制&腰が出る

  • セメント・ポリマー系強度・耐久に優れ外部や床に◎。色ムラは養生と水分管理で対策。

配合のコツ:同じレシピでもロット差・気温・湿度で“表情”が変わる。当日サンプル塗り水量1〜2%の微調整がプロっぽい!


3️⃣ “一発勝負”はしない!層構成で仕上がりを安定化

  • 下塗り:付着・吸水調整。ザラっと骨材でカギ掛かりUP。

  • 中塗り:厚みと平滑づくり。ここで面の骨格を決める️

  • 上塗り:意匠と肌理の決定。骨材の粒度&顔料でキャラ付けを。

ポップTip:厚塗りはヒビのもと!各層必要十分の厚みを守れば、乾燥もムラなくキレイに。


4️⃣ 鏝(こて)さばき=圧×角度×速度 ️

  • 早押さえ:ノロ(微粉)が上がり平滑に。ただし焼けムラに注意。

  • 遅押さえ:艶が乗る大人の仕上げに。水引き(乾き加減)を読む

  • 道具の使い分け:金鏝=締め、木鏝=粗ならし、ステン鏝=サビにくい、樹脂鏝=“当たり”がやさしい。

表情コントロール

  • つるんと鏡面→漆喰磨きで上品に✨

  • 砂肌でマット→土×骨材で温かみ

  • ランダム感→鏝ムラを“残す”勇気でアートに


5️⃣ 養生は“仕上げの一部”️⛱️

  • 直射・強風は敵!遮光&通風でゆっくり乾かす。

  • 冬の冷え込み→結露→白華(白い跡)に注意。夜間シート&緩やか加温

  • 空調の強風は色ムラの原因。風よけ+加湿でバランスを整える。

ポップTip:仕上がり不良の8割は“乾燥の速すぎ”が原因。**乾燥は“急”より“均”**が正解!


6️⃣ 色・艶・肌理(きめ)をデザインする

  • :顔料は1%刻みで“理想のニュアンス”に近づける。

  • :鏝圧でマット⇄グロスをコントロール。

  • 肌理:骨材粒度で陰影が変わる。ライトの角度を当てて影をプレビュー

モックアップ:仕上がりの“誤解ゼロ”に効く。**照明条件(昼/夜・色温度)**を現場に合わせて確認しよう!


7️⃣ よくあるトラブルと“神リカバリー”

  • ピンホール:下地の微細空気。再圧着+薄押さえで埋める。

  • 色ムラ:乾燥ムラ or 練りムラ。霧吹き→同条件で再押さえが効く。

  • ヘアクラック:厚塗り・急乾燥。スサ増量/薄層化/湿潤養生で予防。

記録が最強温湿度・配合・押さえ時刻をメモ。次現場で再現できる=プロの仕事


8️⃣ メンテの基本

  • 室内:乾拭き→薄めた中性で優しく。研磨NG。

  • 外部:雨筋は水線の逃げを見直し。撥水材は素材の呼吸を邪魔しない範囲で。

サステナTip:残材は再練りで試験片に。洗い水のpH中和も忘れずエコ対応。


9️⃣ まとめ✨

左官は素材×水×時間のアート&サイエンス。
下地診断→配合微調整→層構成→鏝圧→養生→検査の**“見えない工程”を整えれば、仕上げは自然と美しく長持ちします。次回は改修と高難度意匠**をさらに深掘り!

 

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第13回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

 

~“映える左官・長持ちする左官”~

 

美しく映えて、施工も安定、手直しも少ない——そんな“ご機嫌な左官”をつくりましょう!


1️⃣ 改修の“三択”——撤去?重ね?部分補修?

  • 撤去(はつり):根治。ただし粉塵・騒音・コスト↑。大面積の脆弱層には有効。

  • 重ね塗り:短工期。ただし付着&吸水調整が命。シーラー→フィラー→上塗りで層の“橋渡し”。

  • 部分補修色・艶・肌理合わせが難題。同日・同湿度で小面積モックアップ→OKなら本番。

ミニ試験:A4サイズで付着・色・艶を確認→施主とOKサイン✍️


2️⃣ 高意匠のレシピ集

① 漆喰“磨き”ラグジュアリー ✨

  • 手順:下地平滑→上塗り→半乾きで鏝押さえ石鏝orプラスチック鏝で磨き

  • ポイント:水引きを逃さない。遅すぎると焼け跡、早すぎるとノロが泳ぐ。

② 土の“砂肌マット” ️

  • 手順:骨材1.0〜1.5mm/スサ少量→木鏝仕上げで粒子感を残す。

  • ポイント:照明が“斜め”に当たる面は影が美味しい

③ セメントの“研ぎ出し”

  • 手順:骨材入りで打設→硬化後にダイヤ研磨浸透保護で汚れガード。

  • ポイント目地計画割付で“揺るぎない幾何学”に。

ポップTipライト当てテストで“映える角度”を決めてからレシピ確定!


3️⃣ 雨仕舞い×左官=チーム戦️

左官だけじゃ解決しない雨筋・白華・滞水は、

  • 板金:笠木の水返し5〜10mm、端部毛細切り

  • シール二面接着(バックアップ材)で目地底割れ回避。

  • 見切り:異素材の可動ジョイントで“動きを受ける”。

教訓:**仕上げの不具合の半分は“取り合い”にある。設計・現場で“水の旅路”**を一枚図に!


4️⃣ クラックと仲良くする(or させない)

  • 構造クラック:躯体原因。目地・Uカット&樹脂充填・可動部で“逃がす”。

  • 収縮クラック:厚塗り・急乾燥由来。スサ増量/薄層化/湿潤養生

  • 土・漆喰の“味”:微細なひびを表情と捉える文化も。事前に説明&合意が平和の特効薬️


5️⃣ 品質は“写真と数値”で守る

  • 計測:温湿度、含水率、押さえ時刻、照度。

  • 定点写真:下地→中塗り→上塗り→押さえ→養生明け。

  • 合否の言語化許容ムラの範囲を写真サンプルで共有。

KPIミニ例

  • 手直し率:2%以下

  • 乾燥ムラ起因の色ムラ:ゼロ

  • 引き渡し後クレーム:月0件を目標に!


6️⃣ DXで“うまさの再現性”を上げる

  • クラウド図面&仕様:最新版一元管理で**“古図施工”撲滅**。

  • 材料QR:ロット→配合→面の履歴をピッで紐づけ。

  • 日報テンプレ配合・押さえタイム・温湿度を自動記録。

  • 簡易BIM/AR:役物・見切り・照明角度を現場で重ね見→“影の勝ち筋”が一目瞭然


7️⃣ 左官×サステナブル

  • 土・石灰の地産地消→輸送CO₂↓&地域の色を活かす。

  • 外装通気&断熱と合わせて冷暖房負荷↓

  • 長寿命設計(直せる納まり・部分補修前提)で廃材↓

メッセージ:左官は“建てた後の環境性能”にも効く。美しさ×省エネの二刀流でいこう!


8️⃣ ケーススタディ:カフェ改装で“映える&早い”を両立☕✨

  • 課題:短工期/既存塗膜ムラ/照明演出重視。

  • 打ち手:付着試験→重ね塗り採用。下地フィラーで吸水均一→漆喰半艶磨き

  • 演出:ライトを斜め45°に配置して鏝の陰影を活かす。

  • 結果:SNSで「壁が主役!」と話題に。手直しゼロで引渡し


9️⃣ 明日から使える“左官ルーティン”

  1. 下地吸水テスト→秒数メモ

  2. 当日サンプル塗り→水量微調整

  3. 層ごとの必要厚→言語化

  4. 押さえ時刻→写真+時刻スタンプ

  5. 養生条件→温湿度メモ&風遮断

  6. 合否写真→照明条件そろえて保存

この6つだけでも、仕上がりの安定感が段違いに!


まとめ:左官は“時間を味方にする工芸”⌛✨

見えない工程の設計が、見える美しさ長持ちを生む。
改修でも新築でも、下地→配合→層→鏝→養生→検査の“型”を守りつつ、意匠とDXでワンランク上の仕上がりへ。
さあ、次の現場でひと手入れてみませんか?すべすべ、しっとり、つやつや——あなたの鏝が“空気まで心地よく”してくれるはず。

 

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第12回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

 

~やりがい~

 

素材を生かし、性能を設計し、空間の“空気”まで仕上げる仕事

左官は“塗る人”ではありません。土・石灰・石膏・セメント・鉱物系仕上げなど多様な素材を選び、下地の状態を診断し、層構成を設計し、湿気・熱・音・光までを整える“外皮・内装のエンジニア”。だからこそ、現場からのニーズは年々高度に、そしてやりがいもまた深くなっています。本稿は、左官業のリアルに根ざしたニーズ(要求)とやりがいを整理し、すぐ使える実装のヒントまでまとめます。


1|いま現場が左官に求める「主要ニーズ」10

  1. ひび割れ抑制と付着の確実化
     下地の動き・収縮に応じたメッシュ補強、誘発目地、弾性下地、界面プライマーの選定。数年後の再劣化を“設計で”減らす。

  2. 調湿・空気質(IAQ)性能
     漆喰・土系・珪藻土・鉱物系の吸放湿レート、pH、VOC吸着性を数値で提示。カビ・結露対策とセットで提案。

  3. 短工期・安定品質
     可使時間・養生温湿度・含水率の管理、機械施工(ポンプ・スプレー)とのハイブリッドで面精度×速度を両立。

  4. 改修下地への適合
     ALC・PB・RC・旧塗材・タイル撤去跡などに対し、付着試験/中和・pH確認/下地調整の“診断→処方”力。

  5. 耐水・耐汚染・清掃性
     水回りや商業施設では撥水・防汚・耐薬品の要件が必須。鉱物系+保護材やマイクロセメント等の表層設計

  6. 外装の耐候と通気排湿
     一次防水・二次防水・通気層の連続性。外断熱(EIFS)では熱橋対策とメッシュの重ね幅まで明記。

  7. 意匠の再現性と多様性
     磨き・掻き落とし・洗い出し・骨材混入・テクスチャ。サンプル承認→標準板→量産の“同じを繰り返せる”段取り。

  8. 品質の“言える化”
     塗り厚・平滑度・含水率・温湿度・メッシュ重ね幅・写真の記録台帳。引渡し後の説明責任に直結。

  9. 安全・環境
     粉じん対策・低VOC・静音養生・廃材分別。低炭素素材や再炭酸化の視点、LCA/EPDの要望も増加。

  10. BIM/CAD・他職種との同期
     層構成をBIMに載せる、拾い出し精度、監督・内装・防水・設備との干渉解消。デジタル前提の合意形成。


2|左官の“やりがい”――8つの瞬間

  1. 面が立ち、空間が締まる瞬間
     下地の波・出隅入隅が整い、光がキレイに走ったとき、空間の品位が一段上がる手応え。

  2. 素材の声を引き出す喜び
     土・石灰・鉱物系の手触り・色の深み・光の拡散。サンプルでは出なかった表情が“現場で”立ち上がる。

  3. 数字で語れる職能
     付着強度、含水率、塗り厚、温湿度、pH…感覚+数値で品質を説明できる誇り。

  4. 難所を納め切った達成感
     開口周りの微妙な動き、既存との取り合い、曲面の連続。**1発で“収めた”**ときの快感。

  5. 健康・快適への貢献
     調湿でカビや匂いが減り、「子どもがよく眠れる」「冬の結露が止まった」と生活者の声が届く近さ。

  6. 伝統と現代の橋渡し
     漆喰・土壁の技を、改修・商空間・外断熱の文脈へアップデートして活かせる。

  7. チームで成果が出る一体感
     防水・内装・電気・設備と同じ地図で段取りがハマり、手戻りゼロで終わる日。

  8. 技の継承が見える
     鏝の角度や圧を言語化・動画化して後輩に渡せる。技能が資産になる手応え。


3|発注者別「ニーズの翻訳」早見表

  • 設計者:意匠×性能の両立/サンプル→標準板→量産の再現性/BIM層構成・テクスチャ情報/LCA資料

  • 現場監督:工期順守(可使時間・養生計画)/粉じん・騒音・動線の安全計画/記録台帳(塗り厚・含水率・写真)

  • 施主・運用者:清掃・補修の容易さ/カビ・匂い対策/色ムラの安定/保証とメンテ周期


4|そのまま提案できる「サービス・パッケージ」

  1. ひび割れ抑制パック
     開口周り・入隅・目地のメッシュ標準図+弾性下地+誘発目地。ひび幅・間隔の許容を提示。

  2. IAQ(空気質)パック
     漆喰/鉱物系で吸放湿・pH・VOC吸着を数値で提示。水回りは保護材の耐薬品データ添付。

  3. 改修ワンデー薄塗りパック
     旧クロス・旧塗材の上から下地調整→フィラー→薄塗り仕上げ。粉じん・臭気・当日復帰の段取りを明文化。

  4. 品質“言える化”パック
     塗り厚ゲージ・含水率・温湿度ログ・写真をQR台帳化し、引渡しPDFを納品。


5|現場で効くチェックリスト(抜粋)

下地診断

  •  付着強度・含水率・pH

  •  クラック種別(構造的/表層)と補修方法

層構成・材料

  •  プライマー相性/メッシュ重ね幅/誘発目地位置

  •  可使時間・養生温湿度・塗り重ね間隔

仕上げ・意匠

  •  標準板の色・艶・テクスチャ承認

  •  量産時のバラつき許容(ΔE・光沢度)

安全・環境

  •  粉じん養生・低VOC材・廃材分別

  •  作業音・時間帯の合意

記録

  •  塗り厚・含水率・温湿度・写真・ロット番号を保存


6|ショートケース(要点だけ)

A|RC外壁の再塗装前下地

  • 課題:ヘアクラックと白華。

  • 施工:洗浄→低圧注入→弾性ベース+メッシュ→鉱物系仕上げ。

  • 成果:3年経過でクラック再発ゼロ、雨だれも抑制。

B|飲食店の厨房壁

  • 課題:油汚れ・漂白洗浄への耐性。

  • 施工:鉱物系薄塗り+耐薬品保護材、立上りは見切り金物で清掃性UP。

  • 成果:清掃時間30%短縮、退色・剥離なし。

C|保育施設の教室

  • 課題:匂い・結露。

  • 施工:漆喰仕上げ+換気計画と窓の結露対策をセット提案。

  • 成果:冬の結露ほぼ解消、臭気苦情ゼロ。


7|90日アクション(明日から動ける三手)

  1. “層構成シート”を標準化
     下地条件→プライマー→補強→下塗→中塗→仕上→保護→養生をA3一枚に。現場・設計と共通言語化。

  2. 計測と台帳の習慣化
     塗り厚ゲージ・含水率計・簡易温湿度ロガーで記録→QR化。引渡しの説得力が跳ね上がる。

  3. メッシュ・目地の標準図セット
     開口・入隅・天井見切りの3D断面テンプレを社内共有。クラックを“施工の工夫”ではなく設計の既定動作に。


おわりに――“仕上げ”は最後の作業ではなく、最初の価値

左官の価値は、素材の魅力×建築物理×段取りを一体にして、空間の“質”と“健康”を底上げすることにあります。
ニーズは高度化していますが、やりがいはむしろ増えています。面が整い、光が走り、空気が変わる――その瞬間を毎日つくれる仕事は多くありません。

次の現場では、

  • ひび割れを“設計で減らす”、

  • 品質を“数値で語る”、

  • 美しさを“再現で裏付ける”。

この三点を合言葉に、左官の価値をもう一段、引き上げていきましょう。

 

 

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第11回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

 

~時代の変遷~

 

 

土からデザイン、性能へ。壁は“仕上げ”から“建物の器官”へ進化した

左官は、土・石灰・石膏・セメントなどを練り、下地を整え、塗り重ねて仕上げる仕事。日本建築の原風景をつくってきた技術は、材料・工法・役割のすべてが大きく変化してきました。ここでは、素材・工法・道具・性能・市場の視点で、時代ごとの転換点を俯瞰します。


1|素材の変遷:土・石灰から、セメント・樹脂、そして再び土へ

江戸~明治

  • 町家や土蔵の土壁(木舞下地+荒土/中塗り/上塗り)と、**漆喰(消石灰)**が主役。

  • 調湿・防火に優れ、地域土の色合いが景観を形づくる。

大正~昭和前期

  • 近代建築の内部に石膏プラスター、外装にはモルタルが台頭。工期短縮と平滑性が評価される。

  • 漆喰は寺社・数寄屋など意匠性の高い領域へ。

高度経済成長~昭和後期

  • RC普及とともにセメントモルタルが標準化。耐久・強度に重心。

  • 仕上げはリシン・スタッコなど吹付けが主流に。乾式材(ボード)の拡大で左官領域は縮小。

平成~令和

  • 省エネ・健康志向の高まりで漆喰・土系が再評価。調湿・抗菌・脱臭など機能素材として復権。

  • 既存下地へ薄塗りで質感を出すマイクロセメント/ミネラルペーストポリマー改質材が普及。

  • 外断熱(EIFS)やALCの専用下地材・メッシュ補強が標準化。

結論:材料選定は意匠の問題から**建築物理(湿気・熱・ひび割れ)**の問題へ。左官は“素材の組み合わせ設計”の職能に広がった。


2|工法の変遷:木舞土壁から複合下地・メッシュ補強へ

  • 伝統工法:木舞竹・小舞掻き→荒壁→中塗→上塗。時間と養生をかけ、収縮を分散して長寿命化。

  • 近代以降:ラス下地・モルタル塗り、ラス金網/ファスナーの選定と留め付けピッチが品質の鍵に。

  • 現代:乾式下地(石膏ボード・ALC)上にフィラー+メッシュ+仕上げ多層システム。下地の動きを吸収し、ひび割れと剥離を抑える。

  • 外断熱:EPSボード+ベースコート+メッシュ+仕上げ。防水・通気・熱橋まで含む“外皮パッケージ”。

重要なのは、一次防水・二次防水・通気排湿・熱橋対策の連続性。塗り厚や層構成は“美観の話”ではなく性能の設計


3|道具と生産性:鏝の妙技+機械化・デジタル化

  • 鏝の多様化:ステン鏝・角鏝・柳刃・中塗・漆喰・仕上げ鏝…用途最適化が進む。プラスチック鏝で黒ズミや鏝跡の抑制。

  • 機械化:ミキサー・モルタルポンプ・スプレーガン・パワートロウェルで面精度と速度を両立。

  • デジタル:レーザー墨出し・デジタルレベル・温湿度ロガーで平滑度・含水率・養生を“言える化”。拾い出しはBIM連携でロス削減。


4|性能要求の変化:装飾から“外皮の器官”へ

  • 調湿・カビ抑制:漆喰・珪藻土の表面積とアルカリ性、吸放湿レートを数値で提示。

  • 耐久・防水:外装はクラックコントロール(メッシュ/誘発目地)、塗り重ね時の界面設計が必須。

  • 断熱・蓄熱:厚塗り土壁の熱容量を夏の遅れ効果として活用、外断熱との相性を設計で担保。

  • 耐火:土・石膏の不燃性を、準耐火・防火仕様の実験値・適合証で説明。


5|市場の変化:新築偏重からリノベ・ヘリテージ保存へ

  • リノベ市場:ビニルクロスからの左官化(薄塗り仕上げ)、タイル撤去後の平滑補修、古民家再生での土壁再生が増加。

  • 文化財・町並み:漆喰・黒漆喰・なまこ壁・洗い出しなど、地域意匠の復旧と技能継承。

  • 商空間:マイクロセメントや磨き仕上げ(“ヴェネツィアン”系)で素材感×衛生×耐久を同時に満たす需要。


6|品質・法規・安全:技能+標準化で信頼をつくる

  • 下地含水率・pHの確認、可使時間・養生温湿度の管理を標準手順に。

  • VOC・ホルムアルデヒド対策、改修時の粉じん養生・廃材分別。

  • 写真・数値の記録(塗り厚、メッシュ重ね幅、温湿度、クラック幅)で引渡し品質を可視化。


7|デザインの広がり:鏝跡から“光の反射率”まで

  • 質感:砂目・掻き落とし・磨き・骨材混入・雲母入り・洗い出し…光の拡散/反射をデザインとして制御。

  • :顔料・土のブレンドで地域色を再現。艶・反射率まで含めて照明計画と協議。

  • テクスチャ×機能:厨房は耐水系薄塗り、ギャラリーは低反射のマット、保育・医療は抗菌性を数値で説明。


8|人材・継承:徒弟制から“見える教育”へ

  • 動画SOP・3D断面教材で新人の立ち上げを高速化。

  • 技能検定や民間講座、材料メーカーのアカデミー共通言語を育てる。

  • ベテランの“勘”をチェックリストと数値に落とし、再現可能な品質へ。


9|短いケーススタディ

A|築40年RC外壁の再生

  • 課題:微細クラック・白華・雨だれ。

  • 施工:洗浄→ひび補修(低圧注入)→弾性下地+アルカリガード+メッシュ→鉱物系仕上げ。

  • 効果:クラック追従性が向上し、3年後の再劣化ゼロ

B|古民家の居室を現代化

  • 課題:冬の結露、夏の暑さ。

  • 施工:内側に土系中塗り厚増し(蓄熱)+漆喰仕上げ、窓は内窓化。

  • 効果:体感温度の改善と結露減少、住民満足度UP。


10|現場で役立つチェックリスト(抜粋)

下地

  •  付着強度/含水率/pHの確認

  •  可動目地・誘発目地の計画、ラス・メッシュの固定ピッチ

配合・施工

  •  水量・外気温・可使時間の管理

  •  層構成(下塗/中塗/仕上げ)の乾燥・養生

仕上げ

  •  塗り厚・平滑度・色むら・鏝跡の許容基準

  •  汚れ・カビ対策(撥水・抗菌)と清掃マニュアル

記録

  •  施工写真(全景→中景→接写)、ロット・温湿度ログの保存


11|これからの左官:素材と建築物理の“統合エンジニアリング”へ

  • 外断熱×鉱物仕上げの普及:ひび割れ制御と耐候を両立。

  • 低炭素材料:石灰の再炭酸化や副産物活用、施工時CO₂の見える化

  • デジタル:BIMでの層構成標準化、品質データのクラウド引渡し

  • ヘルスケア:調湿・VOC吸着を**室内空気質(IAQ)**の観点で提案。


12|90日アクション(明日から変わる三手)

  1. “層構成シート”を標準化:下地条件→下塗→補強→仕上げ→養生をA3一枚で。

  2. 温湿度と塗り厚の記録を始める:簡易ロガー+膜厚ゲージで“言える品質”。

  3. メッシュ補強の標準図(開口周り・入隅・目地)を社内共通化:クラックを“設計で”減らす。


結び

左官は、単なる“塗り”ではありません。素材を選び、層を設計し、熱と湿気を制御し、光をデザインする。
土と石灰の時代から、セメント・樹脂・外断熱の時代を経て、いま再び“土と鉱物”の価値が見直されています。

壁は建物の器官——呼吸し、守り、魅せる。
次の現場でも、性能の連続性素材の魅力を同じ図面の上で両立させましょう。あなたの鏝跡が、街の空気を少しやさしくします。

 

 

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第10回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

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~割れにくく、汚れに強く、美しく~

玄関土間、犬走り、アプローチ、塀や外壁。屋外左官は見た目だけでなく、割れ対策・排水設計・メンテ性までが勝負です。代表的な仕上げと、四季に合わせた施工管理のコツをまとめました。🌤️❄️


1|屋外の定番仕上げ——特徴と向き不向き 📚

  • 金鏝押さえ(モルタル/コンクリ):フラットで清掃性◎。スリップ注意→防滑パターン推奨

  • 刷毛引き:細かな溝で防滑性UP。雨天でも歩きやすい🚶‍♀️

  • 洗い出し:骨材を露出させる自然な趣。骨材色でデザイン自由度が高い

  • スタンプ(型押し):石・木目風の表情。広い面積でも目地割れが目立ちにくい

  • リシン/吹付タイル(外壁):耐候と意匠のバランス良好。汚れは高圧洗浄でリフレッシュ

  • ジョリパット系(外壁):パターン豊富。汚れにくい保護材で長持ち


2|割れを抑える“設計ルール” 📏

  • スリット(伸縮目地):3〜4mピッチ、L字・T字の応力集中点に必ず挿入

  • 厚み:土間はt=100mm目安ワイヤーメッシュでひび割れ抑制

  • 下地転圧・路盤をしっかり。柔らかい地盤は砕石層で補強

  • 勾配:外部床は1/100〜1/50で排水確保。水たまりゼロ設計

ワンポイント💡:塀の小口・端部は面木を取り、クラックメッシュを併用すると長持ち。


3|季節別の施工管理 🌡️

  • 暑中(夏):乾き過ぎ→打継ぎ計画散水養生。直射日光は養生シートで遮る

  • 寒中(冬):凍害リスク→夜間保温・低温硬化型を選定。早朝打設は避ける

  • 梅雨時:雨当たり→仮屋根/ブルーシートで養生。仕上げは降雨が読める日


4|当日の段取り:美しい仕上がりの“型” ⏱️

  1. ルート養生(犬走り・玄関の通行計画)

  2. 下地清掃・吸水調整(ブリーディング抑制)

  3. 打設→金鏝/刷毛引き/スタンプタイミング命

  4. 目地カット→洗い出し→保護材(仕上げに応じて)

  5. 養生(立入制限・散水/保温)→引渡し前清掃


5|外壁左官の“長持ち”ポイント 🧱

  • クラック誘発目地メッシュ補強で広面を安定化

  • パラペット・笠木の雨仕舞(キャップ・シーリング)

  • 汚れ対策は撥水剤/クリヤーで表面保護→色褪せ・藻苔を抑制


6|見積りの見方:数字で比較する 🎯

  • ㎡単価の内訳(下地処理/補強/仕上げ/保護材/養生)

  • 厚み・配筋/メッシュの有無

  • 目地本数・骨材/色のグレード

  • 高圧洗浄・再洗い・保護材再塗メンテ費提案があるか


7|よくあるトラブルと予防策 ⚠️

  • ヘアクラック:乾燥急激→散水・保湿養生/配合と厚みの見直し

  • 白華(エフロ):雨水侵入→防水ディテール保護材で抑制/発生時は弱酸洗浄で除去

  • 滑り:金鏝フラット過ぎ→刷毛引き/防滑トップを選択


8|メンテナンス:年1回の簡単ケア 🧼

  • 外部床:**高圧洗浄(弱〜中圧)**で苔・黒ずみ除去

  • 外壁:やわらかブラシ+中性洗剤→水洗い。保護材は5〜7年で再塗推奨

  • ひび補修:微細=シーラー充填0.3mm超=Uカット+充填を検討


まとめ&お声がけ 📣

屋外左官は割れ対策×排水×養生が命。設計から施工・保護材選定・メンテ計画まで一気通貫でご提案します。サンプルパネルの無料作成も可能。まずは現地調査をご依頼ください。📞📨

 

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第9回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

 

~“呼吸”させる左官~

塗って終わり——ではありません。左官は下地づくり→塗り重ね→仕上げの三拍子で、空気感・触感・耐久性を設計する技術です。本記事では、人気の漆喰・珪藻土・土壁・モルタルを比較しながら、失敗しない選び方と見積りチェックポイントを解説します。✨


1|まずは結論:用途別のおすすめ

  • リビング・寝室の快適さ重視漆喰/珪藻土(調湿・消臭◎)

  • 店舗の意匠・質感重視土壁/デザインモルタル(陰影・表情◎)

  • 水まわりの耐久・清掃性重視硬質漆喰/モルタル+保護材(汚れに強い)

  • 部分補修やアクセント漆喰の薄塗りリフレッシュ(既存の上からOKなケースあり)

迷ったら **“下地の状態”と“求める肌感”**で決めるのが正解。まずは現調が近道です。


2|仕上げの特徴をサクッと比較(要点だけ)

漆喰:石灰由来。明るい白、カビに強く、調湿消臭に寄与。コテ波の美しさが魅力。
珪藻土:多孔質で調湿に強い。骨材の粒感でマットな陰影
土壁:粘土+砂+藁スサ。温かみ経年の味。割れ管理は設計の腕の見せどころ。
モルタル:セメント系。シャープな意匠やコンクリ風の硬質感に最適。保護材で汚れに強く。


3|工程の基本:美しさは“下地”で8割決まる

  1. 下地確認:石膏ボード目地・ビス頭処理/モルタル下地の浮き・クラック

  2. 下塗り:シーラー・吸水調整→下塗り材で面を整える

  3. 中塗り:平滑化・厚み確保(割れにくい“体力”づくり)

  4. 上塗り:仕上げ材でコテ圧・コテ目をデザイン

  5. 養生:温湿度管理(乾き過ぎNG・結露NG)→性能を定着

TIP:角は角出し(コーナービード)で美しく耐衝撃化。開口周りはメッシュでクラック抑制。️


4|デザインの幅:“コテ”がつくる表情

  • フラット:上品で光が回る。ギャラリー・サロンに◎

  • ラフコテ/雲肌:陰影がリズミカル。カフェ・ブティックに人気

  • 磨き(ポリッシュ):艶と奥行き。アクセント壁に

  • 刷毛引き/砂目:落ち着いた表情。和モダンにぴったり


5|メンテナンス:長く美しく保つコツ

  • 日常:柔らかいハタキ・ドライモップで埃落とし

  • 汚れ:漆喰は消しゴムや固く絞った布で点処置。広範囲は薄塗り再生が早くて綺麗

  • 欠け:同材で部分充填→ならし。色合わせは試し塗りで確認


6|見積りの“ここ”だけはチェック

  • 層構成(下塗り/中塗り/上塗り)と塗り厚

  • 下地補修(目地・ビス・クラック・メッシュ)を含むか

  • 養生・乾燥管理(季節条件)

  • パターンサンプルの有無(当日変更は難しいことも)


7|よくある質問(FAQ)❓

Q. 壁紙の上から塗れますか?
A. 下地強度と密着の評価次第で可能な場合あり。試験パッチで事前確認します。
Q. 色は選べますか?
A. 顔料調合で淡彩〜濃色まで対応(材によって再現域は異なります)。


まとめ&お声がけ

左官は素材×下地×職人の手で“空気の質”まで変える仕事。サンプル作成から小面積の試し塗りまで対応します。まずは現地診断+素材提案をご依頼ください。‍

 

 

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第8回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

 

今回は、

左官工事と最新技術の融合

~伝統技術 × デジタル化の最前線~

左官工事の「未来のかたち」に焦点を当てます。
一見すると昔ながらの職人技術に見える左官工事ですが、実はデジタル化や新素材の導入によって、近年大きな進化を遂げつつある分野です。

伝統を大切にしながらも、時代のニーズに応える左官技術の革新とは?
今回は、そんな左官工事の“最前線”をご紹介します。


1. デジタルモデリングや3D左官の試み

 

近年注目されているのが、左官技術とデジタルデザインの融合です。

▷ 3Dプリンターとの融合

建築用3Dプリンターの技術が進化する中で、土やモルタルを積層して形を作る技術が実用化されつつあります。これは、左官工の緻密な手仕事と近い表現が可能で、アート性の高いデザインや曲面仕上げにも活用されています。

▷ デジタルモデリングの活用

CADやCGソフトを活用して、壁の仕上げデザインを事前にシミュレーションできる時代に。伝統工法を再現しつつ、施主の要望に合わせた細やかな表現が可能になります。

▷ ロボット左官の研究も

研究段階ではありますが、左官作業を行うロボットの試験導入も進んでいます。均一でスピーディーな施工が求められる場面では、ロボットと職人が共存する未来も現実味を帯びています。


2. 高機能性素材の導入

 

伝統的な素材だけでなく、左官用の新素材も次々と登場しています。
これは、現代の生活環境に合わせた機能性を持つ素材で、左官工事の用途をさらに広げています。

▷ 調湿性・消臭性を高めた塗り壁材

従来の漆喰や珪藻土に改良を加えた高機能素材が登場。

  • ホルムアルデヒド除去効果

  • 断熱性能アップ

  • 抗菌・抗ウイルス機能

など、健康と快適性を追求した“次世代左官材”が住宅や施設で採用されています。

▷ 外装・外壁向けの新素材

耐久性や防水性を高めたモルタル系素材や、紫外線や雨風に強い外装左官材も登場。これにより、左官仕上げが外構や商業施設にも適用しやすくなりました。


3. BIMやAIによる設計・管理との連携

 

建築業界で主流になりつつあるBIM(Building Information Modeling)。
左官工事でも、その波が確実に訪れています。

▷ BIMと左官設計の連携

BIMを使えば、左官の仕上げ面積、材料の量、工期などを事前に正確にシミュレーションできます。これにより、無駄のない計画とコスト管理が可能になり、施工の効率化につながっています。

▷ AIによる現場の施工支援

AIによって左官仕上げの品質チェックや施工支援を行う取り組みも進んでいます。
職人の「経験と勘」だけに頼らず、数値化された情報に基づく判断で、新人職人の育成や現場の再現性も高まっています。


■ まとめ:左官の進化はこれからが本番

 

左官工事は「伝統工法」だからこそ、新しい技術との相性が良いという特長があります。
手仕事ならではの温かみや表現力に、デジタルの精密さや効率性が加わることで、まったく新しい価値が生まれつつあります。

✅ 3D技術やロボット施工など、これまで不可能だった曲面や意匠を実現
✅ 高機能素材で、健康的で快適な空間づくりをサポート
✅ BIM・AIの導入で、施工の効率化と品質の安定を実現

今後も、**「伝統 × テクノロジー」**の左官の世界から目が離せません!

次回もどうぞお楽しみに!

 

 

 

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第7回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

今回は、

左官工事と環境への配慮

~自然素材とサステナブル建築への貢献~

左官工事が担う「環境への配慮」について深掘りします。
近年、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇が問題視される中、建築分野でも「サステナブル(持続可能)」がキーワードとなっています。その中で、自然素材を使った左官工事が再び注目されているのをご存知でしょうか?

左官は、古くから日本の住まいに欠かせない伝統工法でありながら、実は現代のエコ建築にも相性が良いという、非常に価値の高い技術です。


1. 漆喰や珪藻土の「呼吸する壁」の効果

 

漆喰(しっくい)や珪藻土は、調湿性・断熱性に優れた天然素材です。
これらの素材で仕上げた壁は「呼吸する壁」とも言われ、以下のような機能があります。

  • 湿度調整:室内がジメジメすると水分を吸収し、乾燥すると放出。1年中快適な湿度に保ちます。

  • 消臭・空気浄化効果:ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着・分解し、室内の空気をきれいにしてくれます。

  • カビや結露を防ぐ:呼吸する壁はカビの原因となる結露を防ぎ、アレルギー対策にも効果的です。

エアコンや加湿器に頼りすぎず、自然の力で快適な空間を作る。まさに「人にも地球にもやさしい壁」なのです。


2. 環境負荷の少ない工法としての価値

 

左官工事に使われる自然素材の多くは、土・石灰・砂など、地球から得られる天然の資源。そのため、製造や施工の過程でも環境にかかる負荷が少ないのが特徴です。

  • 製造時のCO₂排出が少ない
    一般的な建材と比べて、左官材料は加工工程がシンプルでエネルギー消費が抑えられます。

  • 再利用・再生が可能
    漆喰や土壁は廃材になっても自然に還る素材が多く、処分の際も環境負荷が小さいのがメリットです。

  • 長持ちしやすい壁
    しっかり手入れすれば、何十年と使えるのも左官壁の魅力。廃材を出さず、長く使うことはサステナブルな建築の基本でもあります。


3. エコ住宅や古民家再生での需要の高まり

 

近年、以下のようなシーンで左官工事が再評価されています。

  • 自然派・エコ住宅の内装
    健康志向の高いご家庭や子育て世代から、アレルギー対策や自然素材の安心感が評価され、採用が増えています。

  • 古民家再生・町家リノベーション
    土壁や漆喰の技術は、日本の伝統建築との相性が抜群。古民家を現代的に再生する際にも欠かせない工法です。

  • 宿泊施設・店舗での演出
    自然素材の壁は、温かみや落ち着きを感じさせるデザイン性も魅力。旅館やカフェ、エコ志向のショップでも多く活用されています。


■ まとめ

 

左官工事は、自然素材の魅力と環境配慮を両立した技術です。
建築業界でも環境対応が必須となる中、サステナブルな工法として、これからの社会でますます求められていくでしょう。

  • 調湿・消臭など自然の力で室内環境を整える「呼吸する壁」

  • 製造から廃棄まで環境負荷が少ない、地球に優しい建材

  • 古民家再生から現代のエコ住宅まで、活用の幅が広い

次回もどうぞお楽しみに!

 

 

 

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第6回左官工事雑学講座

皆さんこんにちは!

 

有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

 

 

 

第6シリーズ:左官工事がもたらす空間の変化と事例

テーマ:左官工事が生む美しい空間とその効果

 

 

 

左官工事は、見た目の美しさだけでなく、空間の快適さや居心地の良さを大きく変える力を持っています。

今回は、左官工事がどのように空間に変化をもたらし、どのような事例があるのかを詳しくご紹介します!

 

 

 

1. 左官工事が空間に与える影響

(1) 見た目の美しさ

 

左官工事で仕上げられた壁や床は、テクスチャや色合いが豊かで、空間に温かみや高級感を加えます。

特に、漆喰や珪藻土を使用した仕上げは、光の反射が柔らかく、居心地の良い空間を演出します。

 

 

(2) 機能性の向上

 

調湿効果:漆喰や珪藻土が湿気を吸収・放出することで、快適な室内環境を保ちます。

消臭効果:珪藻土は悪臭を吸収する性質があり、特にキッチンやトイレの壁に最適です。

耐久性:しっかり施工された左官材は長期間にわたり美しさを保ちます。

 

 

(3) 個性的な空間の創出

 

手作業で模様や質感を加えるため、一つとして同じ仕上がりがありません。

オリジナルな空間が生まれます。

 

 

2. 左官工事の施工事例

(1) 和モダン住宅

 

壁に漆喰を使用し、伝統的な和風の雰囲気を残しつつ、シンプルなモダンデザインを融合。

特徴:調湿効果により、四季を通じて快適な室内環境を実現。

 

 

(2) カフェやレストラン

 

珪藻土を使った壁や床で、リラックスできる温かみのある空間を演出。

特徴:テクスチャを加えることで、視覚的な楽しさを提供。

 

 

(3) オフィス空間

 

コンクリートモルタルを使用したシンプルで洗練された仕上げ。

特徴:無機質でありながら、暖かみを感じる独特のデザインが好評。

 

 

(4) 店舗のファサード

 

外壁に磨き仕上げや型押しを取り入れ、個性的で目を引くデザインに。

特徴:店舗のコンセプトに合った独自のデザインが可能。

 

 

3. 左官工事で期待される未来

(1) 環境に優しい施工

 

左官材のリサイクルや、自然素材の活用が進むことで、さらにエコフレンドリーな工事が増えていくでしょう。

 

 

(2) 新しいデザイン技術の開発

 

デジタル技術と職人技を融合させた新しい左官工事が期待されています。

例えば、3Dプリントを応用した左官デザインなど。

 

 

(3) より快適な空間作り

 

調湿や消臭だけでなく、光の反射や音の吸収など、多機能な左官材が登場することで、空間の質がさらに向上します。

 

 

まとめ:左官工事が生む新しい価値

左官工事は、単なる壁や床の仕上げにとどまらず、空間全体の雰囲気や快適さを大きく変える力を持っています。

美しい仕上がりと機能性を兼ね備えた左官工事で、生活の質を向上させる空間作りを目指してみませんか?

 

 

 

次回もどうぞお楽しみに!

 

 

 

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第5回左官工事雑学講座

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有限会社藤田左官、更新担当の中西です。

 

 

 

第5シリーズ:左官工事で活躍する職人たちの技術

テーマ:伝統と革新を支えるプロフェッショナルの仕事

 

 

 

左官工事の現場では、多くの熟練した職人たちが、その技術と経験を活かして美しい空間を作り出しています。

今回は、左官職人がどのような仕事をしているのか、その技術やこだわりについて詳しく解説します!

 

 

 

1. 左官職人の主な仕事

(1) 壁や床の仕上げ

 

職人は、壁や床を滑らかに整えたり、模様をつけたりして、建物全体の美観を向上させます。

手作業で行うため、一つひとつの仕上がりに温かみが感じられます。

 

(2) 自然素材の扱い

 

漆喰や土壁などの伝統的な材料を使った施工では、素材の特性を理解し、最適な扱い方を熟知しています。

 

 

(3) 現場での即興対応

 

施工現場では、設計図通りにいかないことも多々あります。

職人たちはその場で判断し、柔軟に対応します。

 

 

2. 左官職人の技術が光る場面

(1) 模様付けやデザインの表現

 

コテや刷毛を使って壁に模様をつける際、職人のセンスと技術が大いに発揮されます。

ランダムなテクスチャや幾何学模様など、多種多様なデザインが可能です。

 

(2) 微調整の精度

 

左官材を塗る厚さや滑らかさを細かく調整することで、完成度の高い仕上がりを実現します。

 

(3) 長時間の集中力

 

広い壁面や天井を塗る場合でも、均一な仕上がりを維持するために、長時間の集中力が求められます。

 

 

3. 伝統を守りつつ革新を取り入れる姿勢

(1) 伝統的な技術の継承

 

左官工事には、古くから受け継がれてきた技術が数多くあります。

特に、漆喰や土壁の施工では、その伝統技術が大切にされています。

 

(2) 最新技術との融合

 

職人たちは、現代の材料や機械を取り入れながら、効率的かつ高品質な施工を追求しています。

 

(3) 持続可能な取り組み

 

環境に優しい素材を使ったり、廃材をリサイクルするなど、エコロジーな工法も積極的に採用されています。

 

 

4. 職人の魅力とは?

(1) 手仕事の温かみ

 

左官工事は機械では再現できない、人の手によるぬくもりが魅力です。

 

(2) 一点物の価値

 

職人の技術によって作られる壁や床は、一つとして同じものがない、オリジナルな仕上がりになります。

 

(3) 長年の経験と知識

 

熟練の職人は、材料や環境に応じた最適な施工方法を即座に判断することができます。

 

 

次回予告

次回は、「左官工事がもたらす空間の変化と事例」をテーマに、実際の施工事例を交えて、その効果をお伝えします!

どのような空間が生まれるのか、ぜひご期待ください!

 

 

 

次回もどうぞお楽しみに!

 

 

 

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